パンルヴェ第�妻�程式は，ガウスの超幾何方程式の非線形化と考えられる２階非線形常微分方程式である。この講演では，パンルヴェ方程式の大域挙動を記述する非線形モノドロミー写像の力学系・エルゴード理論を考える。これは，パンルヴェ方程式の有理型解芽全体のなす代数曲面上の複素力学系である。パンルヴェ方程式は，ガウスの超幾何関数を特殊解〔古典解〕として含んでいるが，これらは解空間内の不変部分曲線をなしている。この不変部分曲線の任意の近傍に，スメールの馬蹄力学系が存在すること，従ってこの近傍内でカオスが起こっていることを示すことが目標である。用いる手法は，安定放物接続のモデュライ理論，リーマン・ヒルベルト対応による解析的最小特異点解消，指標多様体上の力学系，三次曲面の幾何，代数曲面上の双有理写像のエルゴード理論，多重ポテンシャル論その他であり，解析・幾何・代数が渾然一体となっているところがおもしろい。
Seminar on Analysis at University of Tsukuba