新井氏の講演(8月2日)
Poizatの結果「代数閉体に述語を付加してランクが
ω×2の構造を作ること」についての講演.
代数閉体にPという一変数述語を導入して,Pの部分が黒
それ以外が白と便宜的によぶ.このような色つきの体のうち,
δ(A)=「Aの超越次元×2−Aの中の黒点の数」で予備次元を
定義したとき,δ(A)が常に非負になるものを2色体とよぶ.
2色体はアマルガメイションを持ち,これによってgenericな
2色体が存在する.このgenericな2色体は,ランクがω×2と
なる.
この結果は
Berlin-Lascarの予想の反例になるという説明でした.
また,Poizat氏が論文を書くきっかけは,氏の大学を
Hrushovski氏が訪ねたとき,氏が
ランク2の体を作る方法を聞いたのだが,そんなのは簡単で,
些末な問題には興味がないと言われたことだ,という話が論文に
書いてあるそうです.
池田氏の問題についての解説.
問題A:
ω-categorical なprojective planeは存在するか?
Hrushovskiは,ω-categorical pseudoplaneの存在を示した.
これは,2直線は高々有限個で交わる(およびそのdual)という
性質の平面である.Hrushovskiの構成したものはさらに高々1点で
交わるという条件も満たす.しかし,交わらない場合もあるので
projectiveではない.そこで,必ず交わるという条件を
つけたpseudoplaneをstrongなpseudoplaneと名づける.
strongでω-categoricalなpseudoplaneは存在するかという
問題を提起された. (坪井の
00年大学院講義ノート3学期
にHrushovskiの証明の詳細が載っている.)
問題B:
ω1-categoricalなprojective planeの
Morleyランクは2か?
P2(C)(体が定義できる)や
Baldwinのprojective plane(群が定義できない)はすべて
ランクが2である.そこで,
ω1-categoricalなprojective planeのランクは
すべてランク2ではないかという予想である.
氏によれば,逆はほとんど言える(RM=2+some dondition
implies ω1-categoricity)そうです.
問題C:
Lachlanの予想「Tがstable(or simple)だがω-categoricalで
なければ,I(ω,T)は無限である.」
はsuperstable(supersimple)の場合は証明されている.
また,これはweight=有限でも大丈夫である.(Fujimotoの
結果によれば,finitely basedでも大丈夫)
しかしsmall stable かつweigh=無限の理論は存在すること
をHerwigが示している.その構成はHrushovskiのω-categorical
pseudoplaneの極限の形で書かれている.
しかし,Tsuboiの結果によれば,ω-categoricalな理論の
極限では可算モデルの数が有限の理論はできないことが
わかるので,Herwigの構成はLachlan予想の反例には
なりえない.そこで,small, stable, weight=無限, language=有限
のものが存在するかという問題が自然にでてくる.
論文たたき売りコーナー