セミナーの記録(2023)

筑波大学 解析セミナー

- Seminar on Analysis at University of Tsukuba -

今までのセミナー(2023年度)

日  時: 11 月 22 日(木) 15時 00分 〜 16時 30分
      11 月 29 日(木) 15時 00分 〜 16時 30分  (2週連続の講演です!)

場  所:自然系学系D棟 D509

講 演 者:山戸 康祐 氏 (筑波大学) 

題  目:負の跳びをもたない一次元マルコフ過程のスケール関数の解析性について

講演要旨:
スケール関数は一次元マルコフ過程において、区間からの脱出時刻とディリクレ境界条件下のポテンシャル密度に簡潔な表示を与えるパラメータづけられた関数の族である。一次元拡散過程や負(または正)の跳びを持たないレヴィ過程においては、スケール関数は古くから用いられ、大変有用であることが知られている。野場(2020)は、周遊理論を応用してこれらのスケール関数を負の跳びをもたない標準過程に一般化した。しかし、一次元拡散過程と負の跳びをもたないレヴィ過程のスケール関数がパラメータに関して整関数となることが容易にわかるのに対し、この一般化されたスケール関数に対しては、それは明らかではない。本講演では、負の跳びをもたない標準過程に対するスケール関数がパラメータに関して整関数に拡張されることを説明する。証明における主要な要素は、スケール関数が特定のヴォルテラ型積分方程式を満たす点にある。この結果の応用として、境界で死滅する負の跳びをもたない標準過程に対し、準定常分布の存在の必要十分条件を与える。証明では、スケール関数の解析性を通じた複素解析の応用が重要な役割を果たす。また、一次元拡散過程におけるフェラーの境界分類が自然に一般化され、並行する結果を与える点も興味深い。この講演の内容は2つのプレプリントarXiv:2211.01643, 2308.09935に基づく。





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