微分トポロジー'25
4次元トポロジーの新展開
トポロジー連絡会議の支援するトポロジープロジェクトの一環として開催します。
場所:立命館大学(立命館大学 OIC キャンパス)(H323) (対面&Zoomによるハイブリッド開催)
日時:2025年 3月8日-3月10日
Keywords: ラザニア加群、4次元トポロジー、エキゾチック構造
English version
[概要] 本研究集会は、Lasagna moduleに関する勉強会です。
Zoom URL
Zoom URL
集会参加等登録
参加登録フォーム
懇親会を行います。
申し込み
確定講演者(敬称略)
- 佐野岳人(理研)
- 小川将輝(東北大学)
- 湯浅亘(京都大学)
- 浅野知紘(数理解析研究所)
- 飯田暢生(東京科学大学)
- 軽尾浩晃(学習院大学)
スケジュール(敬称略)
3/8(土) |
3/9(日) |
3/10(月) |
|
|
|
|
|
|
|
Lunch |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
18:30- 懇親会 |
|
タイトルとアブストラクト
- 3/8(土)
- 14:00-15:00
佐野 岳人
Khovanovホモロジー入門 I: 構成
Khovanov ホモロジーは、2000年に M. Khovanov によって導入された結び目ホモロジー理論であり、Jones 多項式の圏化を与えます。
私の講演では 3回に渡って Khovanov ホモロジー理論の基礎的な事項を解説し、本ワークショップの主題である Skein lasagna 加群を理解するために必要な土台を提供します。
第1回目の講演では、Khovanov 複体の構成とその不変性について説明します。
特に、この構成の背後にある Frobenius 代数と 1+1 次元位相的場の理論(TQFT)との関係に焦点を当てた解説を行います。
YouTube動画
YouTube動画(修正後)内容は同じです。若干修正してあります。
- 15:20-16:20
佐野 岳人
Khovanovホモロジー入門 II: 関手性
Khovanov ホモロジーは、結び目のコボルディズムに対して 関手的 に振る舞います。すなわち、2つの結び目の間にある曲面は、対応するホモロジー群の間の準同型を誘導します。
本講演では、コボルディズム写像の構成方法と、それがアイソトピーの下で不変であることの証明について説明します。
YouTube動画
- 15:40-16:40
飯田 暢生
Khovanov Rozansky homologyについて
Khovanovホモロジーは結び目に対して定まる2重次数を持つベクトル空間であって、次数付きEuler数をとるとJones多項式を復元するという意味でJones多項式の圏化である。
Reshetikhin-Turaev理論によればJones多項式はsl_2の量子群のベクトル表現に付随する結び目多項式であり、sl_n版の多項式不変量も定義される。
これを圏化する結び目ホモロジーにはKhovanov-Rozanskyによるものを始め様々な構成が知られている。これらを概説する。
- 3/9(日)
- 10:00-11:00
軽尾 浩晃
線形スケイン理論1
4次元多様体に2ハンドルを付け加えても構造が保たれるかという問題は, 2ハンドルの接着領域(3次元球面内の結び目の環状近傍)においてKirby moveができるかという問題に帰着される. スケインラザニア加群でも同様の問題意識があり, 適切なcolorを結び目に与える必要がある.
本講演では, 3次元多様体の量子不変量の構成の際に, どのようにcolorを与えていたかを復習し, 4次元多様体の場合にどういうことが成り立って欲しいかを説明する.
この前半部分を担当する.
YouTube動画
- 11:20-12:20
湯浅 亘
線形スケイン理論2
線形スケイン理論 1 のアブストラクトの内容の後半部分を担当する.
特に, Hogancamp-Rose-Wedrich による dotted Temperley-Lieb category を用いた annular Bar-Natan category における Kirby color の構成に焦点を当てる.
YouTube動画
- 14:00-15:00
小川 将輝
Skein lasagna moduleの構成
Lasagna(ラザニア) fillingと呼ばれるcobordismとそれに対応するLasagna代数と呼ばれる代数的な対象を導入する。
Khovanov-Rozansky ホモロジーの関手性を使うことで、Khovanov-RozanskyホモロジーがLasagna代数の構造を持つことを述べたのちに、Lasagna加群を導入する。
この構成を理解することで、Lasagna加群がKhovanov-Rozanskyの枠組みのみならず、多くの関手性を満たす結び目に関するホモロジー理論において、考えることのできる枠組みであることが分かる。
YouTube動画
- 15:20-16:20
小川 将輝
Skein lasagna modules for 2-handlebodies
この講演では、前の講演で述べたLasagna加群を2-handlebodyに関して考えた、ManolescuとNeithalathの結果について述べる。
2-handlebody のLasagna加群の計算は、2-ハンドルのattaching linkのcableをとったもののKhovanov-Rozanskyホモロジーを、ある同値関係で割ったものの計算に帰着される。
これをcabled Khovanov Rozanskyホモロジーという。
この結果の証明を眺めることで、Lasagna加群の元の具体的な構成と、それらの元とcabled Khovanov-Rozanskyホモロジーの元との対応を知ることができる。
YouTube動画
- 16:40-17:40
浅野 智紘
Skein lasagna module & handle decompositions
Manolescu, Walker, Wedrichらによる論文 "Skein lasagna modules and handle decompositions" の概説を行う。この論文では4次元多様体のハンドル分解に基づいて、一般の状況でのスケインラザニア加群の記述公式が与えられている。
ここでは特に1-handleの取り扱いに重点を置いて解説したい。
YouTube動画
- 3/10(月)
- 10:00-11:00
佐野 岳人
Khovanovホモロジー入門 III: Leeホモロジーと Rasmussen不変量
Khovanov ホモロジーの定義に用いられる Frobenius 代数を変形することで、Khovanov ホモロジーの変種を得ることができます。その一つが Lee ホモロジーであり、そこから整数値の結び目不変量である Rasmussen 不変量が得られます。
本講演ではこれらの概念の定義を紹介し、その重要な応用である、Rasmussen による Milnor 予想の組み合わせ論的な再証明や、Piccirillo による Conway 結び目がスライスでないことの証明などについても紹介します。
YouTube動画
- 11:20-12:20
小川 将輝
Detecting exotic 4-manifold via skein lasagna modules
この講演では、RenとWillsによるSkein lasagna加群を用いたexotic微分構造の検出についての結果を述べる。特に、結果の証明に用いられるlasagna s不変量に関して述べたのちに、それを用いて実際にどの様な計算が行われているかを外観したい。
YouTube動画
- 14:00-16:00
インフォーマルセミナー(佐野 岳人)
Rasmussen 不変量のコボルディズム的解釈と計算
Rasmussen の s 不変量は Khovanov ホモロジーから得られる整数値の結び目不変量で、Milnor 予想の組み合わせ的な再証明を与えるなど低次元トポロジーへの目覚ましい応用を持つ。
s-不変量は量子次数によるホモロジー群のフィルトレーションを用いて定義されるものであるが、そこから幾何的な意味を読み取るのは難しい。
本発表では、Bar-Natan による Khovanov ホモロジーのタングルとコボルディズムを用いた定式化に基づいて、 s-不変量に対してもコボルディズム的な解釈を与える。
この解釈によって、s-不変量は結び目のタングル分解から計算ができるようになる。
さらに応用として、特定のプレッツェル結び目の無限族に対してその s-不変量が決定できることを示す。
YouTube動画
A diagrammatic approach to the Rasmussen invariant via tangles and cobordisms
ノート・スライド
この研究集会は
- 令和6年度学術学研究助成基金(基盤研究(C))「多様体のハンドル分解やデーン手術に関するある問題解決」(研究代表者:丹下基生、課題番号21K03216)
から支援が与えられます。
世話人:安部 哲哉(立命館大学), 丹下 基生(筑波大学)
Seminar