「明解 線形代数(日本評論社)」 ⇒ 詳しい情報は こちら この本では初歩から高度な理論までが無理なく解説されており、 読者が深遠な理論に到達し易い様に多くの工夫がなされている。 第1章では行列の基礎知識が導入され、 第2章では連立1次方程式と行列の関係の面白さが説明され、 第3章では行列式の基本性質が解説され、 第4章ではハミルトン・ケーリーの定理など行列式の発展や応用が述べられている。 さらに、第5章では線形写像と行列の関係が明らかにされ、 第6章ではベクトル空間の一般論が展開され、 第7章では固有値と固有ベクトルが本格的に登場する。 そして、第8章では2次曲面の分類がなされ、 最後の第9章ではジョルダン標準形が議論される。
「代数の魅力(数学書房)」 ⇒ 詳しい情報は こちら 本書は群、環、体等の抽象概念を天下り的に定義してからはじめるのでなく、 逆に色々の興味深い例からはじめて、 それらを系統的に扱う必要性を読者に十分認識してもらってから、 これらの代数系を導入するという、ブルバキとは対極的な行き方を取っている。 第1章は群論の入門である。 雪の結晶や正四面体の対称性から出発して群の公理に進む。 章の最後では3枚の黄金長方形を組み合わせて正ニ十面体を作る方法、 正多面体の回転対称群を具体的に知る方法などをわかりやすく述べる。 第2章では整数と多項式の類似性を論ずる。 整数と多項式(または整式)の見かけは非常に違うが、 その全体(つまり集合)を考えると、素因数分解、最大公約数、 最小公倍数などについて共通の性質を持っている。 これらから整数と多項式の単因子論が導かれ、 とくに線形代数で学んだジョルダン標準形に対する新しい見方ができる。 この章は(可換)環論の入門と考えてよい。 第3章では定木とコンパスによる作図と関連付けながら体の理論をやさしく述べる。 いわゆるガロア理論は扱わない。 角の3等分は一般に定木とコンパスでは作図できないが、 T 字型の簡単な道具を使えば可能なことを述べる。 第4章は整数論の楽しい話題である。 整数論は非常に長い歴史を持ち、数学の女王と呼ばれている。 歴史が長いだけあって整数論の結果には驚くほど美しい、 または不思議なものが数多くある。また今でも未解決の難問も多い。 この章では、 その中から比較的意味の分かりやすいトピックを選んで楽しい読み物とした。 証明の易しいものは証明をつけている。