最近の研究の関連図
代数学の中でも群論(代数群論)とリー代数学(リー環論)の研究が中心です。
とくに、
ルート系と呼ばれるユークリッド結晶が背景に潜む線形群の構造を研究しています。
有限次元の世界では、
一般線形群・特殊線形群・直交群・斜交群・ユニタリ群などの古典群や、
散在する例外群などを主に扱います。成分は体だけではなく一般の環も扱うので、
普遍中心拡大やシュアー乗法因子群を調べるために、
代数的 K 理論を利用した構造解明も行います。
成分を様々に変化させるという立場は、
代数群を環から群への関手として扱うことを意味しており、
環の性質が如何に群の性質に反映するかという風に、
行列(線形代数)を通じて環と群の双方の相互関係を研究することにもなります。
また、有限次元ばかりではなく無限次元の群(カッツ・ムーディ群)
やリー代数(カッツ・ムーディ・リー環)も積極的に扱いますが、
この場合には非ユークリッド結晶が背景にあります。
ごく最近、
カッツ・ムーディ・リー環に関するムーディ予想を解決することができました。
これらの中でも、
ループ群やアフィン・リー環に代表される綺麗なアフィン型
(nullity が 1)の世界は、
広く様々な数学構造と密接に関係しており、多くの研究者の注目を集めています。
これらの構造を調べるためにも、
表現論や整数論などの知識を幅広く用いますし、
数理物理学などの関連分野の情報も必要となります。
理論的な要請により、
アフィン・リー環を一般化した拡大アフィン・リー環の構造の研究、
さらにそれを一般化した局所拡大アフィン・リー環の概念の導入も行っています。
このような広範な世界でもカッツ予想が成り立つということの証明を、
条件を非常に弱めた上に従来の証明を大幅に改良した形で、
与えることに成功しました。
最近では、
物質科学における準結晶に代表される非周期構造の解明や、
生命科学における DNA 配列に代表される文字列情報の分析に対し、
群論やリー代数学の貢献を目指した地道な研究も行っています
(
研究シーズ
)。
この研究は今までにない新しい境地を開拓する可能性を秘めており、
自己相似性やフラクタルなどという興味深いキーワードとともに、
魅力ある未知の数学への発展が期待されます。
ごくごく最近では、カッツ・ムーディ群の単純性についても研究しています。
長い間の疑問が少しずつ解明されつつあります。