研究会のお知らせ

科学研究費補助金 基盤研究(S) 18H05290 (2018年度~2022年度)
「広汎な観測に対する因果性の導入とその最適統計推測論の革新」研究代表者: 谷口 正信

による研究会

タイトル 多様な高次元モデルの理論と方法論:最前線の動向
参加登録 参加登録フォーム から、2022年2月21日までにご登録をお願いします。
プログラム プログラム・アブストラクトをご覧ください。
世話人 青嶋 誠(筑波大学)、矢田和善(筑波大学)、
石井 晶(東京理科大学)、中山優吾(京都大学)
日時 2022年2月22日 (火)
場所 オンライン(Zoom)
内容・目的 本研究会は、高次元時系列モデルを含む多様な高次元モデルについて、様々な分野における最先端の理論・方法論と解析事例について講演を集め、最新の動向を知ることができる場としたい。一つ一つの講演について、ゆったりと討論を行うことを目的とする。

プログラム・アブストラクト

講演時間 講演題目・講演者(所属)/ アブストラクト
9:30-9:35 開会
9:35-10:35 高次元におけるカーネル主成分分析の漸近的性質とその応用
中山 優吾 (京都大学・情報学研究科)

近年の科学技術の発展によりデータの高次元化が様々な分野でみられる.潜在空間を抽出する手法として,主成分分析は高次元データ解析で広く用いられている.本講演では,非線形な特徴量に着目したカーネル主成分分析を考える.カーネル主成分分析における高次元漸近的性質を導出し,それに基づくクラスタリングや異常値検出法を提案する.当日は,それらの性能を数値実験と実データ解析を用いて確認する.本研究は筑波大学の青嶋 誠先生,矢田和善先生との共同研究である.
10:40-11:40 Sparse principal component analysis for high-dimensional stationary time series
藤森 洸 (信州大学・経法学部)
本講演では,高次元時系列のスパース主成分分析を扱う.これまでの時系列解析では,動的主成分の抽出など古典的な主成分分析を扱う研究が盛んに行われてきた.本研究では,高次元時系列を想定し,主成分がスパースな構造をもつものを対象とする.即ち,共分散行列の主成分の固有ベクトルを対象として,l1ノルムを用いた正則化手法によるスパース推定手法を提案し,得られる推定量の誤差のnon asymptotic bound の導出について議論していく.その際,高次元の分散構造に関する最大不等式の援用をしていくことになるが,時系列モデルを扱う際には独立標本モデルと異なり,標本の従属性を考慮した不等式評価を行う必要がある.本研究では,裾の重い時系列を含めた広いクラスでスパース主成分分析を理論的に扱い,mixing coefficientを用いて従属性を評価し,確率不等式を用いた評価を行っていく.(本研究は早稲田大学の劉言先生,後藤佑一先生,谷口正信先生との共同研究である.)
11:40-13:00 昼休み
13:00-14:00 カーネル法に基づく超高次元スクリーニング
梅津 佑太 (長崎大学・情報データ科学部)
本報告では, カーネル法を用いたスクリーニング手法について説明する. 具体的には, Fan & Lv (2008)によるスクリーニング手法が, 周辺回帰モデルに対するスパース正則化法であることに着目し, その非線形回帰モデルへの拡張として, カーネル法によるスパース周辺回帰モデルを提案する. 結果として導かれるスクリーニング基準は, 適当な条件のもと, ターゲットとなるモデルを1に収束する確率で含むことを示す. また, V統計量の一般論を適用することで, スクリーニングのしきい値の選択について述べる. 最後にいくつかの数値実験を通して, 提案手法の有用性を確認する.
14:05-15:05 高次元データに対する正規近似:最近の進展
小池 祐太 (東京大学・数理・情報教育研究センター)
次元がサンプル数よりもはるかに大きい状況を許すような設定における,独立な確率ベクトルの和に対する正規近似に関する最近の研究成果をレビューする.このような結果は高次元モデルに対する一様な統計推測をする際に重要な役割を果たす.サンプル数に対する次元の増加スピードの許容範囲,正規近似の収束レート,結果の最適性と未解決問題について特に焦点をあてて概説する.
15:10-16:10 高次元における客観的総合指標の一致性について
清 智也 (東京大学・情報理工学系研究科)
客観的総合指標とは,多変量データを適切に重み付けて得られる総合指標の一つである.その重みはデータの統計的性質(具体的には共分散)をもとに決定される.いま母集団を想定し,母集団に対する重み(真の重み)を標本に対する重みで推定するという,標準的な統計的推測問題を考える.ただしデータの次元 p が標本サイズ n とともに大きくなる状況を考察する.本研究では p が発散する場合であっても,p/n が0に収束すれば,緩い条件のもとで一致性が成り立つことを示した.証明はランダム行列理論における近年の結果に基づいている.また数値実験によって実際の推定誤差を検証する.さらに実データを用いた変数選択への応用例を紹介する. 本講演は坂東拓馬氏(東京大学,当時),矢田和善氏(筑波大学)との共同研究である.

報告書